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08.5.21 様々な議論 1 「息は鼻から吸うのか?口から吸うのか」


息は口からでも鼻からでも吸えるのに「どちらか一方だけを選択せよ」というような二者択一の議論があるのは面白い事です。

尺八の場合には「鼻から吸うべき」という「べき論」が結構多く見られます。
「口から吸うべきだ」という意見はあまり見かけません。
「鼻から吸うべき」論は、主に古典を中心に演奏されている方の意見に多く見られます。
「鼻から吸った息は気持ちが良い」「鼻から吸うと腹の奥まではいる」「声帯を締める役割がある」等々、いろんな理由が挙げられていますが、音楽と容姿の関係で説明された方が理解しやすいと思います。

つまり、口をぱくぱく開けて演奏するよりも、どこから息を吸ったか分からないようなある種の演出として、「口からあまり吸うな、鼻を利用せよ」と言ったほうが、説得力を持つと思っています。
「口から吸う息は質が悪い」みたいなご意見はどうかと思います。

「尺八の神髄は古典にあり」=「息は鼻から吸うべき」となっているようですが、尺八という「楽器」と捕らえると、古典だけではないので、「鼻からしか吸ってはだめ」となると不便です。

また、良く聞く話としては師匠から言われたと言う事で「せっかく鳴っている口を壊すな、そのまま維持して息は鼻から吸え」というような話も多いです。

ここで自分の身体の中をよーく観察してみましょう。

鼻からのルートと、口からのルートは喉の所で合流して肺へとつながっています。
この合流地点の鼻側ルートは塞ぐ事が出来るようになっています。
この弁を閉じて、「肺からの息を口からだけ吐き出せる機能」を使って、管楽器を演奏します。
この、鼻への弁がなければ、鼻からも息が出てしまうので、演奏どころか、ローソクの火も消せないかも知れません。

「鼻からだけ息を出す場合」には口側に弁はありません、でも口は閉じる事が出来ますので、口を閉じて鼻からだけ息を出す事が出来ます。

では、「息を吸う時」はどうでしょう?
普通鼻が詰まっていなければ、鼻から息を吸って生活しています。
その場合口を閉じています、つまり、口を閉じる事で鼻から息が吸えます。

「口から吸う場合」には、開口面積は口のほうが圧倒的に大きいので、先ほどの弁を閉めなくても口から空気は入ってきます。
完全に口からだけ吸いたい場合には、その弁を閉じます。

さて、こうして自分の身体の中を観察するといろいろ分かってきます。

尺八を吹く時に「鼻から息を吸うべきだ」として、また「鳴っている口をそのまま」にして、鼻から吸うのは、今まで書いてきた事以外に、もう一つ技が必要になります。
つまり、尺八を吹く時の状態は、少しですが口のルート(唇のノズル)が開いています。
尺八を吹く状態を保つと、そこから空気が入り込みます。
口を開いたまま、口のルートを閉ざす方法は何か?
やってみると分かりますね、そう、舌で閉じるのです。

鼻から吸うには「口を閉じる」又は「舌でルート閉ざす」どちらかが必要になります。

逆に「口から吸う」、又は「口からも吸う」場合には、「尺八を吹く」という状態に使った力を、若干緩めるだけで充分です。

このように、口の中のアクションを考えると、二者択一なら「口から吸う」を選択したくなります。

でも実際には「鼻からも吸う」ので、「一番良い方法をとっている」というのが正解でしょう。

初心者の方に「鼻から吸うべき」と言って指導する事は、結局口の中が狭くなり、「舌で常にルートを閉ざせるように」しておくために、上下の歯の間隔が狭くなっていたり、「口を同じ状態に保とう」とするために長い演奏に耐えられなかったりと、あまり良い結果になりません。(肉体を同じ状態に保つと、必ず疲れて、同じと思っても変化しています。何度も同じ事が出来るように訓練することが重要です)

初心者の方へ

息は口から吸いましょう。
軽く口を開けて、「なるべく音を立てずに息を吸う」、そして唇を閉じるよりも一瞬先に空気をはき出すような(実際には同時)感じで唇を演奏状態にします。

この訓練はブレスの度に唇を演奏状態に持って行く訓練になり、また、適切なアンブシャー(唇と歌口の関係)を作り出す大切な経験になります。

なるべく息の音をさせずに吸い込むためには、最終的には「腹式呼吸」が有利です。
そして、口の中や喉がある程度開いていた方が静かです。
こうした静かなブレスが綺麗な音だけではなく、迫力ある音、泣けてくるような音を出します。

このように、どこから訓練しても同じ結果になる「練習方法」が必要です。
こうした基礎訓練が出来た後に、その音楽に最適なブレスの方法や、身体的なアクション(演出効果)を加えるべきで、最初から名人のある場面を真似ても重要な部分は身に付きません。

尺八の世界で良くやる訓練「ロングトーン」、それも一番鳴りづらい「乙のロ」のロングトーンの練習は、初心者には過酷です。
これも「尺八はロが基本」から来ているようですが、鳴らない音を鳴らせないまま練習する事は、「ならない練習」をしているのと同じです。
鳴りやすい音から、無理のない状態で基礎から訓練・・・が大切です。
鳴らないのに「先ずは曲から」という練習は、もう、お話しになりません。








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