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08.5.6 口元の作り方2「ビブラートのすすめ」


「尺八にビブラートはいらん!」そう思う方もいるかもしれません。
ここでは音楽の演奏の中に使って欲しい・・・という事ではなく、「いい音」を出すための訓練として有効だという事をお話ししようと思います。

尺八には「笹吹き」という音の出し方が有ります。
音のない所から始まり、音が出始めて最大の音量になり、また来た道を戻るように音のない所に戻る音の出し方です。一息でこれを終わらせるのが普通です。
これを図で書くと「笹」の様な形になるので「笹吹き」といいます。

これは唇の柔軟性が無ければ音程まで変化してしまいますから、なかなか難しいものです。
尺八だけではなく、全ての管楽器やバイオリン族、それから歌などにとっても、必要で大切なテクニックですね。
これが出来るようになると音楽は楽しく自由な物になってきます。

息による強弱を唇に与えると、唇は大きな音=強い圧力によって前に(外に)出て行き、小さな音=弱い圧力によって、元に戻ります。
この、ほんの少しの唇の変化を妨げないように、唇を歌口に当てる力を調整するようになります。
この唇を歌口に当てる力を「アンブシャー」などと呼びます。

唇をどの程度の力で、押しつけるのか?これにたいして、たとえば何グラムの力でなどと答えても、計る事も出来ないし、無駄ですね。
この「どの程度の圧力か?」に対する答えとしてなかなか当を得ていると思えるものが「ビブラートが出来る圧力」なんです。

最初のうちは音が出ても上級者に比べてピッチが低く「もっとカッて」などと言われます。
少し音が出てくると、今度は大きな音を出そうと思って歌口と唇を密着させがちです。
押しつけると口にも力が入ります。
この状態で大きな音を出せるようになっても、小さな音からその状態に持て行く事が出来ません。出来たと思っても、音質の急激な変化や、音程の変化、音程を変化させまいとして、顎の角度を変える事による「ぎこちなさ」等が目立つようになります。

あの精密に見えるフルートも初心者の傾向は尺八と全く同じようです。
パイプに共鳴する周波数は決まっているのだから、耳栓をして吹いても合っていなければならない・・・・等と無茶な事を言ってきた自称音響工学の専門家の方もいましたが、片方を完全では無く「かなり塞いでいる」という、中途半端な状態でのピッチです。
上級者になると皆ピッチが一緒になってくることはフルートも尺八も同じなんですね。
どのような状態が適正か?それこそ長い年月をかけて作り出された「真実」がそこにあります。

その「真実」である正確なピッチにどうしたら早く近づけるのか?
しつこいようですが「ビブラート」です。

上級者は小さな音も大きな音も、メリもカリも、ほとんど変化がありません。
これは息の圧力によって変化する唇の動きを、妨げず、しかもソフトにサポートするような歌口と唇の圧力、すなわち適正なアンブシャーを保っているからなんです。

この、唇と歌口の圧力を体感する訓練として「ビブラート」は実に有効です。

ビブラートというと何だか難しいような気がしますが、実はそれほど特殊なことをやっている訳ではありません。

誰かが机の上の書類にコーヒーなんかをぶちまけてしまったときに「あ〜あ〜あ〜あ〜」とか言いませんか?
音程も変化していますが、音量も変化しています。
この機能を使って息のコントロールをするのがビブラートですので、何も特別な訓練が無いと出来ないという物ではありません。
ただ、自然と出てくる時には上手に「あ〜あ〜あ〜あ〜」と言っている割に、そのような場面でない時にやってみようとすると「演技」になりますので、出来ない人が多いです。
貴方はどうでしょう?
周りに人が居ると照れてしまうような人は誰もいない所で、演技の練習をしてください。

これも本当はレッスンを受けて頂けた方が確実で早いのですが・・・

私の所でこの訓練をすると、ほとんどの人は上級者と同じピッチになり、音も大きくなります。
ビブラートの方法だけ訓練させると、後は黙っていても正しいピッチに上がってきます。
口元も非常に良い感じに収まってきて「楽に音が出るようになりました」とほとんどの方が言っています。

まだまだ認知されている訓練方法ではありませんが、かなり成果を上げています。
多分大きな音小さな音を交互に出す訓練ですから、非常に効率の良い訓練なんだろうと思います。
この訓練の後に「ロングトーン」でも良いのではないかとさえ思っています。








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